太刀の形
四 本 目
打太刀は八相の構え、仕太刀は脇構えで、互いに左足から進み、間合いに接したとき、打たちは機を見て八相の構えから、諸手左上段に、仕太刀もすかさず脇構えから、諸手左上段に変化して、互いに右足を踏み出すと同時に、十分な気勢で相手の正面に打ち込み、切り結んで相打となる。
○
八相の構えかた
左足を踏み出しながら、左半身となりつつ大きく八相にとる。(左こぶしの下から相手が見える程度の高さから八相の位置に移行させる。
上段にかぶってから八相の構えの位置に移行させるのではない)
体は左半身(左自然体)になるのであるから、ことさら右に向けないようにする。つばは口の高さとし、顔から約ひと握り離す。
剣先の角度や方向、刃先の方向などは、諸手左上段をそのまま右肩のところへ下した形をとる。
両肘は張らず、すぼめず自然にとる。
○
脇構えのとりかた
右足を後ろにひきながら左半身となりつつ、大きく(右拳が概ね口の高さ)とる。
体はことさら右にむけないようにする。
左こぶしは、へその右横約ひと握りのところに位置させる。右手首は腰紐のところにつける。
刀身は相手から見えないようにかくす。そのためには右手の握りをややゆるめる。
剣先の高さは下段よりやや低目とする。刃先は右斜め下に向ける。
○
進みかた
打太刀、仕太刀共に中央で正面の相打ちとなったときに物打ちで切り結ぶことを心得て間合いを考慮し、小足で三歩進む。
○
正面の相打ちのしかた
斜め打ちにならによう、まっすぐに振りかぶって打ち下ろす。
振りかぶったとき、剣先が下がらないようにする。
打ち込むときは、諸手を十分伸ばすこと。四本目は大技を示したものであるから、大きく伸びるようにするのがよい。
いったん上段をとってから打ち込むのではなく、振りかぶりと打ちとは一拍子で行う。
切り結ぶ位置は、おおむね面の高さとする。
相打ちとなってからは、双方同じ気位で互いの刀身が鎬を削るようにして、自然に相中段となり、
打太刀は機を見て刃先を少し仕太刀の左に向け、右足を進めると同時に諸手で仕太刀の右肺を突く。
○
相中段のなりかた
漫然と相中段となるのではなく、互いに烈しい気争いで鎬を削るようにしながら、相中段となる。
このとき間合いが近い場合は打太刀が調整する。
○
打太刀の突きかた
突き終わったときの剣先の高さは水平よりやや低目とし、刃先はほとんど右に向ける。右足を踏み出したとき、左足もともなう。
体は、思い切り突いたところをかわされるので、一本目よりも更に大きく前傾する。
打太刀は、左足を左前に、右足をその後ろに移すと同時に大きく巻き返して打太刀の正面を打つ。
○
巻き返しかた
左足を左前に踏み出して、巻き返して打つ際に、相手の面を物打ちで十分に打つことができるよう間合いに配意して踏み出すこと。
左足を左前に踏み出すと同時に左手をおおむねひたいの前上まで上げ、刃先を後ろにして右鎬で巻き返し、
右足を左足の後ろに移すと同時に正面を打つ。
斜め打ちにならにように、まっすぐに振りかぶって打つ。いったん、頭上で止めてから打つのではなく、巻き返しと打ちとは一拍子で行う。
打太刀は左足から、仕太刀は右足から、十分に残心の気位を示しながら、相中段になりつつ、抜き合わせた位置に戻り、
剣先を下げて元の位置にかえる。
○
残心の示しかたと中央への戻りかた。
打太刀が中央へ戻りはじめたら、仕太刀は剣先を打太刀の正中線から外さないようにしながら中央へ戻り相中段となる。
二本目と同じく形に表さない残心であるので十分な気位で示すことが必要である。
(剣先をいったん打太刀の顔の中心につけてから戻るのではない)
足の運びかたは二本目と同じ。